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静岡地方裁判所 昭和33年(行)22号 判決 1960年9月20日

原告 株式会社 久保田材木店

被告 清水税務署長

訴訟代理人 館忠彦

主文

原告の請求を棄却する。

訴訟費用は原告の負担とする。

事実

第一、当事者双方の申立

原告代表者は、「被告が原告の自昭和三一年一月一日至同年一二月三一日事業年度分についての昭和三二年七月三一日付認定賞与に対する源泉徴収所得税本税八、七〇〇円―昭和三二年一一月一三日付で八〇六四円と訂正された―同加算税額二、〇〇〇円とする決定に対する原告の再調査請求を棄却する旨の被告の昭和三三年三月三日付決定は、無効であることを確認する。訴訟費用は被告の負担とする。」との判決を求め、被告指定代理人は、主文と同旨の判決を求めた。

第二、請求原因

一、被告は原告に対し、昭和三二年七月三一日付で、「原告会社の自昭和三一年一月一日至同年一二月三一日事業年度(以下「本件係争年度」という)分について、原告会社から同社代表取締役訴外久保田松次郎に対し、六二、一九六円の賞与が支払われたものと認定し、右賞与の源泉徴収所得税の本税八、七〇〇円同加算税二、〇〇〇円、税額合計一〇、七〇〇円を原告から徴収する」旨の決定をした。

二、そこで、原告は昭和三二年八月八日付を以つて被告に再調査の請求をしたところ、被告は同年一一月一三日付を以て、右認定賞与額を五七、六〇七円、本税を八、〇六四円、加算税を二、〇〇〇円、税額合計を、一〇、〇六四円と訂正した(訂正にかゝる被告の右決定を、以下「原決定」という)上、翌三三年三月三日付を以て、原告の再調査請求を棄却する旨の決定(「再調査決定」という)をなした。

三、よつて、原告は同年三月二六日付を以つて、訴外名古屋国税局長に対し、審査請求をなしたところ、同局長は同年九月一一日付を以つて、右審査請求を却下するとの決定(以下「審査決定」という)をなし、右却下通知は同月一六日原告に到達した。

四、しかし、原告は訴外松次郎に「賞与あるいは賞与の性質を有する給与」(以下「賞与」という)を支払つたことがないにもかゝわらず、被告は前記原決定をなしたものであるから、原決定には重大且つ明白な瑕疵があり無効である。したがつて、無効な原決定を支持する再調査決定も亦当然に無効であるから、原告はこれが無効であることの確認を求める。

なお、原告は昭和三二年九月一三日前記訂正前の税額の金員を納付した。

第三、被告の答弁および主張

一、請求原因第一項ないし第三項の事実は、審査決定通知書の到達日の点を除き、すべて認める。右到達日は昭和三二年九月一三日である。なお、原告主張の日に本件税額の金員の納付のあつたことは認める。

二、原告会社は本件係争年度において、同社代表取締役訴外松次郎に対し、別紙第一表記載金額の貸付金(原告会社では仮払金と表示している)を有しながら、右松次郎は右貸付金に附帯する利息を原告会社に支払つた形跡がなく、また原告会社の経理上においても右利息の収入を計上していない。しからば右貸付金に附帯する利息相当の金員を原告会社が右松次郎に対し支払う理由のない本件においては、右利息相当額を同人に支払つたと同一の関係に立ち、結局、原告は松次郎に対し所得税法(昭和二二年法律第二七号) 第九条第一項第五号該当の賞与を支払つたというべきである。

しかして原告会社の日本相互銀行および静岡県由比町農業協同組合からの借入金の利率ならびに市中銀行貸出利率を参考にした市中銀行並の利率は百円につき一日金二銭八厘であるから右の利息相当額は別紙第二表算出の金額である。

三、そこで、被告が所得税法(昭和二九年法律第五二号改正) 第三八条第一項第七号二により、別紙第三表のとおり、源泉徴収所得税額を八、〇六四円とし、同法第五六条第四項により、同加算税を二、〇〇〇円と算出決定し、同法四三条第一項により源泉徴収義務者を原告としたことはすべて適法である。

第四、被告の主張に対する原告の答弁および主張

一、原告が本件係争年度において原告会社の代表取締役訴外松次郎に対し別紙第一表の仮払金勘定を有していたこと、松次郎が原告に原告主張の利息相当額を支払つていないことおよび原告が右利息を決算書に計上していないことは認める。

二、しかし

(一)  右仮払金は原告会社が松次郎に会社の金員の保管を委託したものであつて、会社と松次郎との間の関係は寄託にすぎない。この保管は貨幣たる特殊の動産の保管を松次郎に委託し、しかも受寄者において、その使用もしくは消費を禁じていたものであつて、いわば貯蓄銀行法第五条第二号の「保護預り」のような性質をもつものである。したがつてこれを貸付金とした被告の見解は誤りであつて、かゝる前提に立つ原決定およびそれをそのまゝ支持する再調査決定は無効である。

(二)  仮りに、右仮払金が「貸付金」であるとしても、それは無利息貸付であるので、利息の生ずる余地がない。

(三)  被告は「賞与の支払があつたものと認定」し、その賞与を所得税法第九条第一項第五号該当の賞与であると主張するが、同号は「現実」に支払つたばあいを規定しているのであつて、現実には一銭の賞与をも支払つていない本件において、仮払金の利息相当額を賞与と「認定」したことは、無効である。

(四)a  被告は本件原決定、再調査決定のほか、原告に対して昭和三二年六月二〇付「法人税等の更正決定通知書」を以つて、原告会社の係争年度における法人税確定申告額「欠損一一二、五〇〇円」に対し、前記利息相当分六二、一九六円が松次郎から原告会社に支払われたものと認定して、右申告額を「欠損二四、一四三円」となし、その後同年一〇月二三日付「法人税額誤びゆう訂正通知書」を以つて右利息相当分を五七、六〇七円、欠損額を二八、七三二円と訂正した。

一方、松次郎に対しては昭和三四年二月五日付「昭和三二年分所得税更正通知書」を以つて、松次郎の所得確定申告額に対し、認定賞与四六、〇八五円(これは五七、六〇七円から所得税法第九条第一項第五号イによりその一〇分の二を控除した額)が原告会社から松次郎に支払われたものとして、更正決定した。

b  このことは結局、被告が「松次郎が本件利息相当額五七、六〇七円を原告会社に支払い、そして原告会社がその受入金員を、そのまゝ松次郎に賞与として支払つた」ものと認定したことを意味するものである。

しかし、原告会社のような同族会社においては、代表取締役たる松次郎と原告会社とは有機的関連を有し、松次郎の支出が会社の収入になり、原告会社の支出が松次郎の収入になるというも、実質上は何んらの金員の変動はないのである。

少くとも松次郎の所得に関する限り、同人は五七、六〇七円の利息を支払い、それと同額の金員を賞与として受けたことになるから、同人の所得になんら変動はない。

また、松次郎が同族会社たる原告から、無利子で金員を借りれば、松次郎は利息相当額を支払う必要がないので、すでに、その分だけ損失が少く(利益が多く)計算されているので、そこえ更に利息相当額を松次郎の利益に加算し、それに課税することは二重に所得を見積つたものというべく、その源泉徴収の義務を原告に課した原決定は無効であり、それを支持する再調査決定も、また無効である。

三、また本件再調査決定には、「調査の結果、その理由は認められないため、これを棄却いたしましたから通知します」という理由が掲げられているのみで、具体的理由を示していない。これは国税徴収法第三一条の二の理由を附記したということにはならず、この瑕疵は重大且つ明白なものであるから、再調査決定はこの点からも無効である。

第五、原告の主張に対する被告の認否および主張

一、右(一)の事実中原告の仮払金勘定の金員を松次郎に「寄託」したとの主張はすべて否認する。すなわち、

(1)  原告の松次郎に対する仮払金は昭和二九年末現在において四三七、八〇九円、昭和三〇年末現在において七八二、一三四円、昭和三一年末において四八二、一三四円であつて、長期にわたつて継続的に計上されていたこと。

(2)  原告は昭和二九年末現在において現金四〇〇、七三一円のほか当座預金、普通預金、定期預金を有し、昭和三〇年末現在においても現金および銀行預金を有し、昭和三一年末現在において現金五五、四一九円を有していたことから、原告はいつでも銀行に安全にしかも有利に金員の保管を託しえたこと。

(3)  原告会社は本件係争年度末まで事務員を雇傭し、同人に金員の保管を託しえたにもかゝわらずこれをせず、また原告主張のとおり保護預り的なものならば「現金」と表示してしかるべきにかゝわらず、「仮払金」として処理したこと。

(4)  更に係争事業年度の当初被告の係官が原告の経理担当者であつた訴外久保田隆夫(現在原告会社の代表者)に右仮払金の性質、その使途等について質問したところ、松次郎に渡したものであるから何に使つたか判らないとしてくわしい説明ができなかつたことを総合すると、右仮払金は、原告主張のような保護預り金とみるべきでなく、訴外久保田松次郎に対する貸付金というべきである。

二、右(四)aの事実はすべて認める。

(一)  しかし、被告が原告の申告欠損金額一一二、五〇〇円を、欠損二四、一四三円(後には欠損二八、七三二円)としたことは法人税法における行政処分ではない。すなわち、法人が欠損金額で所得金額のない旨の確定申告をしたばあい、調査の結果いぜん所得金額のないばあいには、欠損金の繰戻しのばあいを除いて、行政処分(課税処分)は行わないのである。被告が原告主張の法人税等の更正決定通知書を出したのは、通知書の様式を誤つたものである。そこで被告は昭和三三年一月二五日付誤謬訂正通知書をもつて、右「更正通知書」を欠損金額修正通知書」と変えたのである。

三、右(四)bにおいて、原告は二重課税を主張するが、個人の所得計算は、法人の所得計算と異るものであつて、本件のばあいは二重課税ではない。

第六、証拠関係<省略>

理由

一、昭和三一年一月一日から同年一二月三一日までの間に、原告会社から同会社代表取締役訴外久保田松次郎に対し別紙第一表の金員が仮払金として交付されていることは当事者間に争いがない。

原告代表者本人尋問の結果によれば、右金員は昭和二九年頃より原告会社がその所有する倉庫を貸店舖に改造し、これを賃貸する都度受取つた敷金であることが認められ、右事実に成立に争いのない甲第二号証乙第八、九号証をあわせ考えると、原告会社の松次郎に対する仮払金勘定は昭和二九年からはじまり、その間多少の増減はあるが昭和二九年末において三七、八〇九円、昭和三〇年末において七八二、一三四円昭和三一年末においてなお、四八二、一三四円の仮払金があつたことが認められる。したがつて右仮払金勘定は暫定的一時的なものということはできない。また原告会社代表者本人尋問の結果や原告の主張における本件仮払金の性質、使途等についての説明はいつでも直ちになしうる筈であるのに証人佐藤武太の証言によれば、昭和三二年度の法人税調査の際原告会社は係官に対し右金員について、これが貸付金でないことを首肯するに足りる格別の説明をなしえなかつたことが認められる。そうだとすると被告が右金員を本来は貸付金であると認定したことは相当であつて適法であるといわねばならない。

二、原告は仮りに前記仮払金が貸付金であるとしても、無利息の貸付であつて利息の生ずる余地がないから、利息相当額の給与ということはありえない旨主張する。しかし会社がその社員に、その病気引越、年末年始その他金員の入用の際無利息あるいは著しい低利で少額の金員を短期間貸し付けたようなばあいに、その貸付金の利息相当額を給与とみることは許されないであろうが、本件のように、何らの首肯すべき理由もないのに多額の金員を長期にわたつて貸し付けたようなばあいには、税法上は右会社が貸付金の利息相当額の利益を社員に対し給付したものと解するのが相当である。蓋し右のような事情の下になされた利息を付さない貸借において原告は当然得べき利息相当額の利益を失うに反し、社員は右利息相当額の支払を免れ同額の利益を得たことになるから、これを実質的にみると会社から社員に対して右利息相当額の価値の移転があつたとしなければならないからである。

そして成立につきいずれも争のない乙第二ないし第四号証により認められる昭和三一年中の一件一〇〇万円以下の市中銀行の貸付金には通常日歩二銭六厘ないし二銭八厘の割合による利息が付せられていたことおよび成立につき争のない乙第五、六号証により認められる原告会社は同年中借受金に対し日歩三銭三厘の割合による利息を支払つていたことを総合すると本件貸付金に対する利息相当額は別紙第二表算出の金額となることが推認でき、かつ本件における右給与は、あらかじめ支給額も支給基準も支給期の定めのないものであるから、賞与の性質を有するものというべきである。

したがつて、右利息相当額を賞与とした被告の認定は適法である。

三、原告は更に所得税法第九条第一項第五号該当の賞与は現実に法人から支払われたものでなければならないと主張するが、支払れたと同一の利益が給与を受ける者に生ずれば足り、必ずしも現実に金銭の支払は必要でないと解すべきであるから原告の右主張は失当である。

四、次に原告は被告は原告会社に対し松次郎から五七、六〇七円の利息が支払われ、松次郎に対し原告会社から五七、六〇七円の給与が支払われたと認定し、結局本人の所得にはなんら変動がなかつたのにかゝわらず原告会社のみならず松次郎個人に課税したのは二重課税であると主張する。

しかし、本来ならば、松次郎は本件利息相当額五七、六〇七円を原告に支払い、松次郎の財産はそれだけ減少し、原告の資産はそれだけ増加しなければならないところ、松次郎が右相当額の支払をしないから、被告は前記認定のとおり、右利息相当額を賞与と認定したのであつて、この点の原告の主張はそれ自体失当である。

また原告は、松次郎は無利息借入れであるから、利息相当額を支払う必要がなく、すでにその分だけ損失が少く計算されているのにかゝわらず、更に利息相当額の賞与を受けたとして、利益に加算されるのは、二重に所得を見積つたと主張する。

しかし、個人の給与所得は、所得税法第一〇条第一項により、「第九条第一項第五号に規定する収入金額 は、その収入すべき金額による」と規定され、法人の所得計算のように、総益金から総損金を控除して算出されるものでないから原告の主張するように「松次郎の所得がすでに、利息相当分だけ損失が少く計算されている」ことは、考えられないから利息相当分を二重に加算することはないといわなければならないのでこの点に関する原告の主張も理由がない。

五、次に原告は再調査決定に具体的な理由の附記を欠くから、無効であると主張する。

よつてこの点を考えるに、明治三〇年法律第二一号国税徴収法(以下「旧国税徴収法」という) 第三一条の二第五項、所得税法第四八条第五項が、税務署長は再調査の請求があつた場合において、左の各号の一に該当するときは、当該各号に定める決定をなし、その理由を附記した書面により、これを当該請求をなした者に通知しなければならない、と規定している趣旨は、一つには税務署長が納税者の不服申立事項についていかなる判断をしたかを明らかにさせることにより、税務署長の恣意を排除して再調査の公正を保障し、一つには納税者がさらに不服申立をなすべきかについて判断の資料を提供し、不服申立の対象を明らかにして無用な争訟を避けることにあると解される。したがつてその理由の附記の程度は、当該再調査請求の対象と切り離しては考えることができない。

そこで本件についてみると、成立に争ない甲第七号証、原告会社代表者本人尋問の結果によりいずれも真正に成立したと認める同第八ないし一〇号証を総合すると本件再調査請求の段階においては、原告から松次郎に対し別紙第一表の仮払金勘定があつたこと、右仮払金の利息相当額が別紙第二表のとおりであること、そして右仮払金が賞与とすれば、別紙第三表算出の税額になることは争いのなかつたところであり、結局争いとなつたのは右利息相当額が賞与となるかいなかにの一点にあつたことが窺われる。

しからば、被告が再調査決定に「調査の結果、その理由は認められないため、これを棄却しました」という理由を掲げただけで具体的に示さなかつたことは成立に争いない甲第六号証により明らかであるがその趣旨は結局仮払金を貸付金と認定しこれに対する利息相当額を賞与と判断して再調査請求を棄却するにあつたことが当然看取できるので、理由の附記を欠いたものとはいゝ難い。のみならず再調査決定の理由の附記が不十分であつたとしても、そのような瑕疵は重大かつ明白なものとはいえないから、再調査決定を取消すべき事由となるに過ぎず、再調査決定の当然無効をきたすものではない。もつとも一般に行政処分無効確認の請求には、もしその処分が当然無効でない場合にはその取消を求める請求を包含していると解されるので、本件の訴を取消の訴とみることができるかどうかを考えてみる。

所得税法第五一条第二項によれば再調査の請求若しくは審査の請求の目的となる更正決定の取消を求める訴は、審査決定に係る通知を受けた日から三ケ月以内にこれを提起しなければならない。本件において成立に争ない甲第一八号証および乙第一号証によれば本件審査請求に対する決定通知書は昭和三三年九月一三日原告代表者久保田松次郎に送達されたことが認められ、原告は右通知を受けたのは同月一六日であると主張するがこの点に関する原告会社代表者本人尋問の結果および甲第二三号証の記載は措信し難く、他に右認定を覆えすに足る証拠がない。しかるに原告が右日時から三カ月にあたる昭和三三年一二月一三日を徒過した同月一五日に本訴を提起したことは記録上明白であるから本訴を行政処分取消の訴とみる余地はないのである。従つてこの点に関する原告の主張も理由がない。

六、本件の加算税額を所得税法(昭和二九年法律第五二号改正) 第五六条第四項により、別紙第三表算出のとおり、二、〇〇〇円としたことも適法である。何となれば源泉徴収加算税算出の基礎となる納付の期限は、 同条第四項第三八条によれば、徴収の日の属する月の翌月一〇日までとなつているところ、右徴収の日とは徴収されるべき日のことと解するを相当とするから本件においては本件利息相当額を未収金ないしは未収金利息勘定として資産に計上すべきを、計上せずその回収をしない意思が明らかになつた本件係争年度末の昭和三一年一二月三一日であるそうだとすれば、成立に争ない甲第七号証により明らかなその以後である昭和三二年二月二〇日を支払確定の日とした被告の処分は相当であつて、右支払確定の日が徴収の日と解されるから、その納付の期限は翌三月一〇日となり、同日から、前記税額を納付した日であることが当事者間に争いのない昭和三二年九月一三日までに、三箇月をこえているから、百分の二五の割合を乗じて計算したのは適法である。

七、以上の理由によれば、被告の本件再調査決定は適法であつて、原告の請求は理由がないから、これを棄却し、訴訟費用の負担については、民事訴訟法第八九条を適用して主文のとおり判決する。

(裁判官 大島斐雄 田嶋重徳 大場民男)

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